連続講座
陽楽の森から考える
新常態〈 ニューノーマル 〉の輪郭

第3回
2022.8.20 土

「里山の価値」の創造と地域の未来
林業から森林業へ
湯本 貴和

生態学/京都大学名誉教授、元京都大学霊長類研究所長、前日本生態学会長、元「野生生物と社会」学会長。
徳島県出身。1987年京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。神戸大学、京都大学生態学研究センター、総合地球環境学研究所、京都大学霊長類研究所を経て現職。

『はじめて学ぶ生物文化多様性』(共編著・講談社・2020)、『ユネスコエコパーク−地域の実践が育てる自然保護』(共編著・京都大学学術出版会・2019)、『日本列島の三万五千年−人と自然の環境史(全6巻)』(編著・文一総合出版・2011)、『世界遺産をシカが喰う−シカと森の生態学』(共編著・文一総合出版・2006)、『熱帯雨林』(岩波書店・1999)、『屋久島-巨木と水の森の生態学』(講談社・1995)

湯本貴和さんは、生態学がご専門です。屋久島をフィールドに樹木とその繁殖を助ける動物(ハチ・ハエ、トリ・サルなど)の関係について初めて学術的にとりあげ新たな学問領域を切り拓きました。その後、アフリカ、南米、アジアの熱帯雨林で植物と動物の相互関係に関する研究を進め、総合地球環境学研究所・環境史プロジェクト「日本列島における人間─自然相互関係の歴史的・文化的検討」において、日本列島のさまざまな自然の成り立ちと「ワイズユース(賢明な利用)」について、多分野融合の共同研究を推進しました。第3回では、「生物多様性」及び「生物文化多様性」について、また「環境史」や「ワイズユース(賢明な利用)」の考え方について学びます。

アーカイブ動画

連続講座第3回(8.20開催)のアーカイブ動画を公開しました。
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第3回のポイント

持続的社会の形成において「生物多様性」は重要なコンセプトです(第4回参照)。そこで「生物多様性」についての理解を深めるとともに、「生物文化多様性」という新たなコンセプトにまで視野をひろめたいと思います。湯本さんが普及・推進されてきた「ユネスコエコパーク」は、「世界遺産」が「手つかずの自然・原生自然」を尊重する傾向があるのに対して、「ワイズユース(賢明な利用)」をつうじて、里山に代表される「人の手が加わった自然・2次的自然」の生物多様性を重視し、環境政策の世界的な潮流の一つとなっています。「生物文化多様性」は、日本文化の自然とのかかわりの深さに目をひらかせてくれます。

予告編 - 講座のオススメ

 湯本貴和さんとは、京都にある総合地球環境研究所に湯本さんがいらしたときに知り合いとなりました(今年3月に、京都大学霊長類研究所の所長を退職されました)。総合地球環境研究所で、湯本さんは、「日本列島の三万五千年-人と自然の環境史」というたいへん大きなプロジェクトを推進されていました。(私はそのプロジェクトに入っていたわけではありませんが、その後にスタートした「地域環境知形成による新たなコモンズの創生と持続可能な管理」というプロジェクトでご一緒しました。なお、連続講座第2回で講演される大住克博さんは、この環境史プロジェクトのメンバーで、湯本さんと一緒に本を出されています)。

 湯本さんは、はじめ、屋久島をフィールドにして、樹木とその繁殖を助ける動物(ハチ・ハエ、トリ・サルなど)の関係について、初めて学術的にとりあげて、新たな学問領域をひらきました。先日、退職記念講演をオンラインで視聴していたら、こんな逸話を紹介されていました。
 湯本さんが、花と虫との関係について研究して、花に虫がとまっている写真を発表するまでは、虫がとまっている花の写真は誰も撮っていなかった、虫が花から離れるのを待って(もしかしたら、追い払って?)撮っていた。ところが、湯本さんの研究成果が一般に知られるようになってくると、花と虫とを一緒に撮った写真が多く見られるようになった、というのです。新しい領域を切り拓いた研究が、人の花を見る(愛でる)見方も変えていったのですね。
 湯本さんは、調査研究をつうじて長くおつきあいのある屋久島で、島の人たちと「屋久 島学ソサエティ」を立ち上げました(2013年12月)。専門化し過ぎた学問と、島のおかれている現実とを、横断的に結んで、問題解決のために必要な知識をうみだし、地域社会にいかしていこうという趣旨からです。

 屋久島は、世界自然遺産の島ですが(1993年登録)、「ユネスコエコパーク」の島でもあります(2016年に、屋久島・口永良部島ユネスコエコパークとして拡張登録)。

 ユネスコエコパークは、「生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とし、自然の保護・保全だけでなく自然と人間社会の共生に重点を置いています」と説明されています。2000年代に入って、「手つかずの自然」(原生自然)を守ろうという考え方から、「人の手が加わった自然」(2次的自然)の生物多様性を重視する考え方へと、自然環境政策も大きく変わっていきました。そのような動きの中で注目されるようになったのが、このユネスコエコパークです(日本では、現在、10箇所が登録されています)。湯本さんは、ユネスコエコパークの普及に尽力されてきました。

 8.20の講演では、植物と動物や人の暮らしとの相互に依存しあって生活する関係について、また、生物多様性も文化多様性も共に豊かであろうとする生物文化多様性のお話を伺えればと思います。
主な著作:
 『ユネスコエコパーク−地域の実践が育てる自然保護』(京都大学学術出版会・2019)
 『日本列島の三万五千年−人と自然の環境史(全6巻)』(文一総合出版・2011)
 『世界遺産をシカが喰う−シカと森の生態学』(文一総合出版・2006)
 『熱帯雨林』(岩波書店・1999)
 『屋久島-巨木と水の森の生態学』(講談社・1995)
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