(一社)環境土木研究所・代表理事、(特非)地球守・代表理事、(株)高田造園設計事務所・代表取締役。
千葉県出身。東京農工大学農学部林学科卒業。2007年株式会社高田造園設計事務所設立。2016年NPO法人地球守代表理事。
『よくわかる土中環境』(パルコ出版・2022)、『新版これからの雑木の庭』(主婦の友社・2021)、『土中環境−忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技』(建築資料研究社・2020)
高田宏臣さんは、造園設計施工と環境・土木研究がご専門です。東日本大震災をきっかけに、これまで積み重ねてきた文明のあり方を見直す必要があると考えるようになり、本業の造園設計施工から自然環境の再生とその技法や視点の普及に軸足を移していきました。かつての環境造作には、現代では想像の及ばぬほどの深い意味が込められており、土地の生態系を養い自然環境の潜在力を高める暮らし方を持続させてきたのです(「地球守」HPより)。第5回では、土地のもっているポテンシャルを見ること、それには土地を読む技術が大切であることを学びます。
これまで森林の問題を考えるとき、一般には、目に映る地上部分のことしか見ておらず、土中の水や空気の循環をつうじて、地上の相貌が維持されていることの大切さに気づいてはいませんでした。学術的には分野ごとに個別の発見はありますが、それを統合するには技術の視点が不可欠といえます。残念ながら現代の土木技術はその視点を欠落させており、地上の改変がそのまま、土中環境を閉塞させ、ひるがえって地上の相貌の崩壊をもたらしているのです。森を甦らせるためには、また災害を防ぐためには、何をどのように見なくてはいけないのか、高田さんの実践から学ぶことは大きいといえます。