堀田 新五郎
政治思想史/奈良県立大学地域創造学部教授、地域創造研究センター長。
東京都出身。京都大学法学部卒業。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得後退学。
『撤退論』(共編著・晶文社・2922)、「撤退学宣言Ⅱ(解決編)-ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ」(『地域創造学研究』52号・2022)、「撤退学宣言Ⅰ(問題編)-ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ」(『地域創造学研究』50号・2021)、「知性と反知性-ソクラテスとサルトルを起点に」(『政治思想研究』2020)、『講義 政治思想と文学』(共編著・ナカニシヤ出版・2017)
地域創造研究センター https://narapu-rcrc.jp
堀田新五郎さんは、政治思想がご専門です。新たな地域創造に向けて、県立大学という社会的役割をもふまえて、「撤退学宣言」を著しました。すなわち、急激な人口減少、地方消滅、未曾有の財政赤字、年金崩壊、環境激変という状況を前にして、これまでの価値観や生のスタイルを根本的に改めない限りは破局的な事態が訪れるに違いない。そのような不安を誰もが抱えているにもかかわらず、「慣性の力学」から逃れられずにいる。戦前・戦中の状況、そして現代の東日本大震災にともなう東京電力原子力発電所事故後の状況、いずれをとっても「撤退」できないことから生ずる構造的破局であり悲劇である。いまこそ求められるのは、近代的な分析知性から撤退的な知性へのターン、知の構造転換であると(「撤退学宣言」より)。
最終回では、「撤退学」との対話をつうじて「植物の生長に依拠した社会発展もしくは文明」が具体的にどのような構想に結びつくのか、「もう一軸を立てる」というキーワードで語られることについてイメージ豊かに共有していきます。それは「陽楽の森」を会場とした「チャイムの鳴る森」の奥にあること、その先の構想を浮き彫りにしていくことになるでしょう。同時に「撤退学」にとっても、いくつかの可能性の一つとして、手がかりとなるでしょう。
最終回は、連続講座を振り返って、参加者のみなさんと、気づきや今後について語り合いたいと思います!